こんにちは!ユウです。
環境計量士の濃度を保有しています。
環境の仕事をしていると計量証明書というものを聞いたことがあるはずです。
分析の結果には、計量証明書をはじめとして分析結果報告書、試験成績書などが存在します。
一体何が異なるのでしょうか?
今回は、その中でも計量証明書についてわかりやすく解説します。
計量証明書か計量証明以外か
環境の分析においては計量証明書とそれ以外の報告書に分けられます。
つまり、計量証明書だけが特別ということですね。
その他の分析結果報告書を含む報告書類については特に法律などで定めはありません。
試験成績書や分析報告書などの名前も存在します。
計量証明書は、計量法に基づいて経済産業省に計量証明事業所として登録をして、分析事業を行っている事業所のみが発行することができます。
お気づきかもしれませんが、計量証明の所管は経済産業省ですが、結果をどうこうするのは環境省になります。
計量証明書の条件
試料
計量証明書はずべての分析に適応されると思われると思いきや実は違います。
濃度分析の計量証明書は、環境試料(河川水、地下水、土壌、大気など)と工場排水に限られています。
上記の試料以外は計量証明書を発行することができません。
例えば、工程水、産業廃棄物、飲料水、食品等は計量証明書が発行できません。
こちらについては、計量証明書ではなく、分析結果報告書などその他の書類として発行されます。
飲料水や食品については、主に厚生労働省の管轄になりますので計量証明とは全く関係ありません。
分析項目
試料の種類以外にも分析項目においての決まりもあります。
大腸菌群数、電気伝導率、濁度などは、たとえ川の水などの環境試料であったとしても計量証明書の対象外となります。
その他の計量証明対象物質と一緒に表記される場合には、但し書きで記載が可能ですが、対象外物質のみでの記載は不可となっています。
計量証明の対象の項目と分析方法については業界団体の一般社団法人日本環境測定分析協会(JEMCA)が毎年まとめたものを公表しているのでこちらで確認できます。
【標準化】 2020年度版 「計量証明対象物質名等及び計量の方法と機器又は装置」
計量証明書とその他の書類との精度の差
分析の精度は計量証明書とその他の書類ではまったく変わりはありません。
やっていることは同じで、計量法に準じているかだけの違いです。
計量証明だから精度が良かったり、法律で証明されているというわけではありません。
計量証明書が必要な場合はほとんどない
「できれば計量証明書で欲しい!」と思っている方が多いと思いますが、
実は計量証明書を利用しなければならない場面が意外とありません。
主に、民間企業が計量証明書を必要とする場合は工場排水の分析です。
この工場排水の分析は、自社(排水者)で行い記録することが可能です。
ただし、自由に行って良いわけではなく法令で決められたJIS規格や環境庁(省)告示に従い分析結果の生データを保存する必要があります。
多くの排水事業者は、自社で分析を行うことができないため外注をします。
その外注先が、計量証明事業所というわけです。
また、排水した結果を市や県にも必ず計量証明でないとダメなわけではありません。
と言っても、計量証明事業所に排水を持ち込めば自動的に計量証明となりますので心配する必要はありません。(計量法対象外の試料、項目を除く)
計量証明書は必ず正しいと証明しているものではない
「計量証明書に書かれているから法的にもこの結果が必ず正しい!」と言われる方がいますが実はそうではありません。
正しい結果どうかは、必ず確認しなければならないことがあるからです。
ちなみにですが、計量証明書が間違っていたり、再発行されることはあります。
人為的ミス
検体を採取してから分析して結果を書類にするまで全てにおいて人の手によって行われます。
つまり、どこかで人為的ミスを起こします。
採取した時に違ったものを採取してしまったり、分析中に取り違えたり、結果を入れ間違ったりします。
計量証明書の結果がおかしいと思ったら必ず発行した計量証明事業所へ問い合わせをしましょう。
提出した結果について再度精査し人為的ミスがなかったを確認してくれます。
もし間違いが見つかれば訂正してくれます。
試験方法が合っていない
河川水や排水と言っても取るものによって大きく違ってきます。
つまり、定められている試験方法で必ずしも正しい結果が出るとは言えないのです。
例えば、海水の分析を河川の方法で分析を行うと塩分の影響によって結果が違ってしまうことがあります。
とは言っても、分析の規格が全ての検体について網羅されているわけではありません。
計量証明書は、記載の試験方法で分析した結果を証明するものなので必ずしも示された濃度のものが含まれている証明ではないのです。
・計量証明書は、経済産業省に事業登録した事業所が発行できる。
・環境試料(水、土壌、大気)と工場排水などにしか発行できない。
・大腸菌群数、電気伝導率、濁度等は、計量証明で発行できない。
・排水検査は自主検査でもできるので必ずしも計量証明である必要はない。