こんにちは!ユウです。
環境計量士濃度を保有しています。
炭酸イオンの分析を依頼すると「溶存しない」という分析結果が表記されることがあります。
通常であれば、定量下限値未満だったりN.Dと表記されるはずです。
結論を先にお伝えすれば、pHが8.3以下の場合は理論上溶存しないので「溶存しない」と表記されることがあります。
この記事は、炭酸イオンが溶存しないと表記される理由について解説しています。
炭酸イオンの分析方法
炭酸イオンの分析方法は複数ありますがこの記事では鉱泉分析法指針で解説します。
鉱泉分析法指針で炭酸イオンを分析する際には塩酸での滴定を行います。
滴定を行う際は指示薬にフェノールフタレインを使用します。
フェノールフタレインはpH8.3以下の場合は発色しません。
鉱泉分析法指針では、フェノールフタレインの色が発色しない場合は炭酸イオンが存在しないとしています。
この場合、炭酸イオンの定量を行っていません。
そのため結果には単純に「溶存しない」という表記を用いることがあります。
この表記は、担当する計量士によって異なるため分析方法の定量下限値を求めて定量下限値未満と表記する計量証明事業所もあります。
pH8.3以下で炭酸イオンが溶存しない理由
炭酸イオンや炭酸水素イオンは溶液のpHの影響をかなり受けています。
理由は、pHによってイオンの溶存量の上限(飽和量)があるからです。
炭酸イオンの場合は、pHが8.3以上の場合のみ溶存可能なためフェノールフタレインを加えた際に発色しなければ存在しないと確認することができます。
「溶存しない」の扱い方
「溶存しない」と定量下限値未満との関係ですが、簡単には両方とも同じと考えても問題ないと考えています。
定量下限値についてはこちらで解説しています。
http://yu-minotake.com/wp/bunseki-miman/1406/
私個人的には、「溶存しない」は定量下限値未満よりも0に近いと考えています。
理由は、理論上存在しないからです。
厳密に考えれば意味の違いがありますが一般に未満値や0と同様の扱いでも問題ない状況のほうが多いです。
・理論上存在しないpHの場合炭酸イオンは溶存しないと表記されることがある
・pH8.3以下の場合炭酸イオンは存在しない
・溶存しないは定量下限値よりも0に近い表記である