こんにちは!ユウです。
分析試料の酸分解は、バーナーに張り付いてずっと人が付いていて行うものだと思っていませんか?
実は、試料を分取して放置する方法があります。
それが、自動分解装置エコプレです。
似たようなものでヒートブロックは、ご存知でしょうか?
ヒートブロックは、主に液体に酸を加えて加熱する装置です。
ヒートブロックは、加熱が続くと中に入っている液体が蒸発して減っていきます。
液体が全てなくなると分析したい物質が損失する恐れがあります。
また、酸の量が少ないと分解不足になります。
エコプレは、ビーカー上部に空冷装置が付いた構造になっています。
空冷装置によって中の液体が蒸発しないので放置していても長時間の酸分解が可能です。
今回は、エコプレについて実際に使ってみたレビューを紹介します。
特徴
エコプレは、ビーカー部分と空気冷却部分に分かれています。
接合部分はネジ式でつなげることができます。
空冷装置を取り外せばテフロンビーカーとしても使用可能です。
素材はテフロン素材でできています。
空冷装置があることにより、蒸発した酸を冷却して再度試料に分解に戻すことができます。
メリット
放置して分解できる
冷却装置により、容器内の酸が蒸発しないので放置しても内容物が乾固して対象物質の損失がありません。
ただし、分解中に発泡するものについては冷却部分の上部からあふれることがあります。
発泡するものについては事前に灰化などすると流出を防げます。
使用する酸の量が少ない
ビーカーなので開放された状態で過熱すると酸がどんどん蒸発していきます。
そのたびに酸を加えなければならないので大量の酸を必要とします。
エコプレは蒸発する酸が少ないので使用する酸の節約が可能です。
分解中の事故が少ない
ビーカーは酸分解を繰り替えると劣化して底が抜けたり割れたりして事故につながります。
また、エコプレは密閉とはいえませんが直接内容物が外へ飛び出す使用になっていないため突騰による事故も防げます。
最悪爆発が起こったとしても、放置することにより装置の前に人がいないため場外を起こす可能性を減らすことができます。
マイクロウェーブに比べて操作が簡易
マイクロウェーブ分解をする際には、温度センサーや圧力センサーを取りつける必要があるため準備に時間がかかります。
エコプレは、ビーカー部分に分解したいものを入れて蓋をして装置に乗せるだけです。
また、マイクロウェーブは分解できる物質の量が0.5g以下とかなり少ないです。
エコプレは、10g程度まで分解することができます。
水銀の前処理も可能
単純な酸分解以外に水銀の前処理も可能です。
通常の前処理であれば大掛かりなガラス器具で水冷の蒸留装置を使用しますがエコプレの場合は不要です。
水銀の前処理だけのために大掛かりな装置を用意する必要がありません。
寒くても使える
ヒートブロックを使用したことがある人は分かると思いますがなぜか寒い日は稼動しません。
温度センサーが5度以下の表示ができないのでエラーになるようです。
エコプレはそのようなことがないので氷が張るような寒い日でも朝一から使用が可能です。
デメリット
油分が付着する
使用ごとに使用した酸で過熱洗浄を行いますが油分の多いものを分解すると残渣が残ります。
金属分析ではあまり気にする必要がないのですが見た目がかなり汚くなります。
アセトンやヘキサンで洗うと落とすことができますがちょっとめんどくさいです。
容器が劣化する
テフロン容器ですが数年しようすると劣化してきます。
冷却部分が白くにごってきたりビーカー部分に気泡上の穴が開いてくるような感じがします。
自分が使用していた感じでは、毎日使用しても5年ぐらいは使用できるような感覚でした。
250度以上は加熱できない
テフロンビーカーは250度以上で分解すると溶けてしまいます。
そのため、分解を進める為に高温にすることができません。
高温にできないため、分解時間を長くする必要があります。
容器が高い
ビーカーは1つ1000円ほどで購入できますが、エコプレは容量によりますが5~10万ほどします。
数十本用意するだけで100万円を超えてくるので初期コストがかなり高いです。
ただし、分解にかかる人件費を大幅に削減できる為、1~2年ほどで回収することが可能です。
揮発する物質が損失する
砒素やセレン等揮発しやすい物質は損失しやすい傾向があります。
損失を防ぐ為に硫酸などの試薬を加える必要があります。
そのため、揮発しやすい物質についてはマイクロウェーブに劣る部分があります。
実際にあった使用中のトラブル
容器が溶ける
加熱温度が200度であっても、分解物と酸の反応熱で容器の耐久温度を超えてしまうことがあるようです。
温度の高い分解では容器の一部が溶けて変形する可能性があります。
検体の性質によっては低温で長い時間分解してから高温へ持っていくことが必要になります。
容器が爆発
硝酸の分解が不十分で過塩素酸による爆発を起こしたことがあります。
エコプレは、上部が密閉されていないので破裂することがないと思っていましたが実際は破裂しました。
破裂した部分は底部分で、ロケットのように容器がドラフト内を飛び回りました。
破片が飛び散るような破裂ではないことと、分解中は人が付いていないのでけが人が出ることはありませんでした。
電源が入らない
電源ケーブルと基盤の故障により電源が付かないことがありました。
原因は経年劣化による漏電です。
耐久については約3~5年ぐらいと感じました。
修理は購入金額の半額ぐらいの金額がかかりました。
購入するには?
エコプレは韓国のメーカーが製造しています。
日本での代理販売は、株式会社アクタックが行っています。
お願いすれば、実物を使用しながらの実演をしてもらえました。