こんにちは!ユウです。
環境計量士(濃度関係)を保有しています。
土壌の分析で、土壌環境基準と土壌汚染対策法に触れないわけにはいきませんよね?
ただ、この2つの分析内容は
とても似ていて初めての方には何が違うのかわかりにくいです。
簡単に違いを表すのであれば、
土壌環境基準は自主的に行う土壌分析
土壌汚染対策法は県や市などの指示により行う分析です。
この記事を読めば、土壌環境基準と土壌汚染対策法をしっかり区別できるようになります。
法的な違い
目的
土壌環境基準と土壌汚染対策法では目的が大きく異なっています。
“平成3年8月、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として 「土壌の汚染に係る環境基準」(以下「土壌環境基準」という。)が定められました。その後、項目追 加等が行われ、現在、土壌環境基準は 27 項目について設定されています。 ”
出典:環境省 土壌汚染対策法の仕組み
“法は、有害物質を取り扱っている工場・事業場が、土壌汚染の有無が不明なまま放置され、例えば、住宅、 公園等のような不特定の人が立ち入る土地利用に供せられることによって、人への健康影響が生じてしまう ことを防ぐことを目的としています。”
出典:環境省 土壌汚染対策法の仕組み
土壌汚染対策法は、人への健康影響を防ぐことを目的としています。
適法範囲
“環境基準は、汚染がもっぱら自然的原因によることが明らかであると認められる場所及び原材料の堆積場、廃棄物の埋立地その他の別表の項目の欄に掲げる項目に係る物質の利用又は処分を目的として現にこれらを集積している施設に係る土壌については、適用しない。”
出典:平成3年8月23日 環境庁告示第46号
“土壌汚染の状況を把握するため、汚染の可能性のある土地について、一定の契機をとらえて調査を行う。
(1)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査
(2)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査”
出典:土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)
基準を超えたら?
“環境基準に適合しない土壌については、汚染の程度や広がり、影響の態様等に応じて可及的速やかにその達成維持に努めるものとする。
なお、環境基準を早期に達成することが見込まれない場合にあっては、土壌の汚染に起因する環境影響を防止するために必要な措置を講ずるものとする。”
出典:平成3年8月23日 環境庁告示第46号
“都道府県知事は、土壌の汚染状態が基準に適合しない土地については、その区域を指定区域として指定・公示するとともに、指定区域の台帳を調製し、閲覧に供する。”
出典:土壌汚染対策法について(法律、政令、省令、告示、通知)
分析面での違い
分析項目
26項目の溶出基準と3項目の農用地基準があります。
農用地基準はカドミウム、砒素、銅がありますが、カドミウムは米1kgあたり、砒素と銅は土壌1kgあたりの基準となっています。
土壌の基準のため農用地の米のカドミウム分析は、あまり行われることがありません。
26項目の溶出基準と9項目の含有基準があります。
9項目の含有基準は摂取した時を想定しているため全分解の時の濃度ではなく胃酸の濃度に近い酸で溶出する分析となっています。
分析方法
溶出試験の分析内容についてはほぼ同じ分析方法となっています。
含有試験については分析方法が異なっているため注意が必要です。
溶出試験:平成3年8月23日環境庁告示第46号
農用地カドミウム:昭和46年6月農林省令第47号に定める方法
農用地砒素:昭和50年4月総理府令第31号に定める方法
農用地銅:昭和47年10月総理府令第66号に定める方法
溶出試験:平成15年3月6日環境省告示第18号
含有試験:平成15年3月6日環境省告示第19号
総理府令の分析方法は、原子吸光法が記載してあるのでご注意ください。